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#02 湖魚を食べる会
「本気の湖魚料理」でホンモノの価値を発信

「魚治・湖里庵」七代目当主 治右衛門

この連載は、「湖魚でなんか楽しいことやろうぜ!」のかけ声で始まった、『まな板の上の湖魚〜湖魚を食べる会〜』のレポートです。年1回のペースで開催しています。
毎回、漁師のぼくもびっくりな料理が登場します。 「湖魚って食べられるの?それっておいしいの?」という方や、 これから湖魚を食べてみようという方の参考になればうれしいです。

地元、海津へ凱旋!『湖魚を食べる会〜 vol.2』

前回の『まな板の上の湖魚〜湖魚を食べる会〜 vol.1』から約1年。いつかぼくの地元、海津で開催したいという願いが早くも叶いました。

それは「湖里庵」さん(以下、敬称略)での開催。湖里庵は天明4年(西暦1784年)創業の「魚治」が営む料亭で、「鮒寿しの育った風土の中で鮒寿しを食べてもらいたい」と始められた料亭です。

料亭 湖里庵(こりあん)

「湖里庵(こりあん)」は作家 遠藤周作による命名。遠藤周作はここの料理や眺望に魅せられ足しげく通った。

そんな湖里庵で、目の前に広がるキラキラ光る琵琶湖を眺めながら、海津の地酒「竹生嶋」をたしなみ、料理が目の前に並ぶまでのストーリーを知って、感じて、味わってもらいたい。そんなぼくのわがままを、七代目当主の治右衛門さんが快諾してくれたのです。

(治右衛門) 湖魚の良さを知ってもらうなら、ぜひ私たちの海津の街で、私たちが生きさせてもらっている琵琶湖を目の前に、皆さんをおもてなししたい。料理法は沢山あるけど、たとえば魚の捌き方は淡水魚文化の滋賀と、海魚と淡水魚が混ざる文化の京都では違う。

ぼくも知らない淡水魚のあれこれ。魚の捌き方、洗い方、〆てから提供するまでの時間。治右衛門さんの熱い想い。きっと皆が知らない湖魚料理を、この人なら食べさせてくれるに違いない。

各地域に食文化が有り、どれも素晴らしいと思う。滋賀じゃないといけないとか、逆に京都じゃないといけないとかもない。だったら、それぞれの伝統料理や郷土料理はもちろん必ず受け継いでほしいけど、新しい風も感じてほしい。そして、今回はそんな会になるに違いないと、ぼくは確信しました。

ぼくの知ってる琵琶湖をみてもらう

今回も、イベントの企画と進行は「場とコトLAB.」の中脇さんにお願いすることにしました。

ぼくが湖里庵さんのことを話すと、「それではちょっと「よそ行き」な海津になってしまう。もっと君の現場を見せてくれ。君の生まれ育った海津の街や琵琶湖が見たい。」と言われ、そこで当日は、あいにくの雨模様でしたが、海津漁港からうちの屋形船「きらり」で海津の沖合に出て、琵琶湖の漁業の話をさせてもらいました。

あいにくの雨と強風で船を出せるかギリギリまで判断できませんでしたが、なんとか出港できて一安心。

つづいて、漁港からほど近くにあるうちの作業場見学。うちは琵琶湖から数歩のところにあり、琵琶湖を臨むかたちで作業場があります。獲る魚によって網を使い分けるので、壁にはいろんな網が積んであります。おなじ小鮎を獲るにしても、季節によって住みところが違うので、冬用、春用、夏用で網が違います。

ここで網にかかった魚をはずす。漁に出た日の朝は、少しでも新鮮な魚を届けるために、一刻一秒を争う作業の修羅場と化す。

七代目治右衛門さん、本気の湖魚料理

雨で少々お疲れモードのみなさんでしたが、会場に入るや、琵琶湖を一望できる縁側で桶から出したばかりの鮒寿し(姿造り!)とお酒をふるまわれ、いきなりテンションMAXに!うまい。本当にうまい。そして有難いことに、どんどんコミュニケーションの輪がひろがります。

もはや芸術品のような鮒寿し。昔ながらの木桶仕込み。

初対面の人もうまい酒と肴で会話がはずむ。どのテーブルも「飯(いい)」と呼ばれる御飯の部分もペロリとたいらげた。

ひとしきり宴が盛り上がったところで、治右衛門さんからのごあいさつ。

(治右衛門) 今日は本気の湖魚料理、出します。近年、湖魚をもっとよく知ってもらうために新しい食べ方も提案されているけど、昔から地元に伝わるおいしい食べ方のなかでも一番のものを食べてもらいたい。

湖里庵当主の「本気宣言」に、一同どよめく。どんな料理に出会えるのだろう。

イワトコナマズの酒粕汁

治右衛門さんが「寒い雨のなか、お客さんの体が冷えているだろうから」と、温かい椀物を急遽用意してくれました。イワトコナマズの酒粕汁は本当に美味しく、心も体もぽかぽかに。

イワトコナマズの酒粕汁

イワトコナマズの酒粕汁

刺身「今朝仕込み鯉のあらい」と「熟成 鮒の子まぶし」の食べ比べ

続いてお刺身です。

「あらい」とは刺身を冷水や氷で〆て、コリコリとした食感をたのしむ料理です。琵琶湖の周辺では、むかしから鮒や鯉をあらいにして酢味噌和えで食べる習慣があります。一部の地域では、「子まぶし」といって塩茹でした魚卵をまぶして食べることもあります。

どちらも刺身ですが、治右衛門さんは「その調理法による違いを味わってほしい」と、鯉を今朝〆てあらいに、鮒を長いもので5日熟成させて子まぶしにして出してくれました。

鯉のあらい

鯉のあらい

鮒の子まぶし

鮒の子まぶし

まずは鯉のあらいから。つづいて子まぶしをいただく。…少し間をおいて、あたりから「ん?!あ!?うま!!知ってる刺身のイメージと全然ちがう!」と歓声があがります。

キンキンに冷えた鯉のあらいは期待どおりコリコリで、まったく臭みもなくうまかった。意外だったのは、鮒の子まぶし。熟成されて、まるで昆布締めみたいに「ねっとり」した食感とともに旨味が口にひろがる。正直、鮒のイメージがくつがえされました。

今回、ぼくが湖里庵さんに託した鮒はギンブナです。もともと鮒はコイ科の魚のなかで一番甘味があってうまいとぼくは思っています。けど、鮒寿しの材料として珍重されるニゴロブナじゃないと滋賀では売れない。ぼくのギンブナを「少しでもいいから持っておいで」と言ってくれるのは、治右衛門さんだけです。それは、ギンブナをおいしく食べる調理方法を知り尽くしているからなんですね。

全国の料理人のみなさん、うまいですよ!琵琶湖で獲れる旬のギンブナは!!

漁法で変わる、小鮎の味

刺身の次に出てきたのは、小鮎と山菜の天ぷら。山椒塩でいただく。

小鮎の天ぷら

小鮎の天ぷら。この時期に刺し網漁で獲れた小鮎は、苦味が少なく身はほろっとやわらかい。

ここで、参加者のみなさんに中村から「小鮎の漁法と味の違い」について説明させてもらいました。琵琶湖周辺には小鮎の獲り方が5つあるのですが、それぞれ小鮎の味が違うことをぜひ知っておいてください。

漁法・時期漁法の特徴小鮎の味
えり漁
12月〜8月
古くから伝わる琵琶湖独特の漁法のひとつ。湖岸から沖合に向かい矢印型に網を張り、網にそって泳いだ小鮎を「つぼ」と呼ばれる矢印の先端部分に閉じこめる漁法。小鮎は背が真っ黒でシャキーン!とした魚が獲れる。炊いても頭が落ちにくく少し固めに仕上がるので、見た目の良い佃煮の進物ができる。苦味の強いことがある。贈り物には無難。
沖すくい網漁
6〜7月
湖面に浮かんでくる小鮎の群れめがけて漁船が全速力で走り、船の前方に取り付けた「ガチャンコ」と呼ばれる大きな網でガッチャーンとすくう。背中が真っ黒のシャキンとした小鮎がとれる。見た目と味は、えり漁の小鮎に似ているが、佃煮を炊くと脂が浮くくらい脂がのっていて、品質がデリケートなため足が早い。
小糸漁(刺し網漁)
12月〜8月
水中にカーテンのように張った網で、周遊する小鮎を漁獲する方法。時期によって小鮎の棲む水深が違うので、使う網もいろいろ。中村家ではこの漁法で小鮎を獲っています。魚に網に引っかかっていた傷があり、背の色は少し茶色っぽい。柔らかく苦みが少ない。特に3月ごろは小鮎が水深の深いところにおり、背が白く、身がバツグンにやわらかい。
おいさで漁
4月中旬
竿の先につけたカラスの羽を水面を滑らせるように動かし、小鮎の群れを思った形に整えながらタモ網に追い込む漁法。高齢化がすすみ、この漁法ができるのはわずかな人だけ。海津大崎の波打ち際でみられる浅瀬にいる小鮎を捕まえるので、砂を吐かせるため生簀に1〜2日おく。そのあいだに腹が減る→胆汁が増える→苦味が増す。
やな漁
3月上旬〜7月末
湖から川に遡上してきた小鮎を獲る方法。川幅いっぱいに簀(す)を張り、小鮎がさらに上流へと向かおうと簀にそって泳いでいくと、川岸にある「カットリグチ」と呼ばれる捕獲口に誘導され、生け簀に落ちる仕組み。

見ためを綺麗に仕上げたい時やほろ苦いのが好きな方は、えり漁を。
少しくらいほろ苦くてもよく、すぐ調理する人は沖すくい網漁を。
柔らかくあまり苦くない小鮎が欲しければ小糸漁を。
苦味が好きな人は、やな漁かおいさで漁を選ぶと良いと思います。

ぼくの家は小糸漁専門。背が黒くないので鮮度が悪いと誤解されますが、夜中に網を上げると魚はまだ生きています。でもデリケートなので、なるべく早く買い早く調理してください。

海津の自然と、漁師と、料理人だからできる、唯一無二の鮒寿し

つづいて、治右衛門さんによる鮒寿しの包丁パフォーマンス。鮒寿しに向かいながら、治右衛門さんは言います。

この鮒寿しは最後にお茶漬けになって出てきます。

(治右衛門) 食べ物は基本的に安いほうがいい。最近は鮒寿しも安いものが出回るようになってきた。しかし安くてホンモノじゃないもの、つまりちゃんと熟成の進んでないものも多い。私たち料理人が安く商品を提供しようと思ったら、安く材料を仕入れなくてはならない。しかしそれでは生産者が困る。だからウチは安くない代わりにしっかり付加価値をつけて生産者に還元したいと思っている。

鮒寿しは昔から伝わる郷土料理だから、誰でもつくろうと思えば簡単につくることができる。基本的に、春先に獲れた鮒を塩漬けにし、夏の土用の頃に塩抜きして一昼夜乾かしたものをご飯につけ、正月ごろに完成、といった流れ。中に雑菌や虫が入らないよう樽に水を張り、納屋や軒先に置きっぱなしにしておくことが多い。

治右衛門さんも「鮒寿しをつくるのは菌。一度樽の蓋を閉めたら、あとは熟成するのを待つだけだから、中の菌が育ちやすいように人間はお世話するだけ」という。

けれど、治右衛門さんの鮒寿しは、材料のニゴロブナが獲れる水域、水深、漁法までごだわり、毎年お米の出来具合でそのブレンドを変えたり、日々の温度管理や水の入れ替えはもちろん、蔵の立ち入りは治右衛門さんだけという徹底ぶり。二冬かけてじっくりと発酵熟成させる。

(治右衛門) うちの鮒寿しは、近くに小糸を操る漁師がいて、この鮮度、この水深がないと実現できない。かけがえのない、この関係性を大切にしたい。

その言葉どおり、治右衛門さんはこちらの言い値で魚を買い取ってくれる。信じられないかも知れないが、仕入れてから「昨日の魚、○円でよろしくな」と値踏みされることも多いこの業界で、漁師のことを大事にしてくれる本当に有り難い存在だ。

その後も料理はぞくぞくと。

本もろこの七輪炭火焼。この時期のもろこは、よく太っていて骨がやわらかい。七輪焼はこの日だけの特別演出。

鮒寿し茶漬け。湯に鮒寿しが馴染み優しい味わいに。この茶漬けはほんとうにうまい!魚治で購入できます。

デザートは地酒「竹生嶋」の酒粕アイス。濃厚な味はハー○ンダッツどころじゃない。

最後に、うちのおかんのギンブナの煮付けをみなさんへお土産にさせてもらいました。

おかんのギンブナ煮付け

はじめて湖魚を食べた人も、プロの料理人も、最後はみんなでこの笑顔!

イベントを終えて

ご参加くださったみなさま、治右衛門さん、本当にありがとうございました!正直、楽しくて飲み過ぎました(笑)

治右衛門さんは地元の大先輩。古い考えかたかも知れないけれど、目上の人だからあまり無茶は言えなかった。そんななかでの心づくしでした。ふだん、目の前で包丁パフォーマンスをしたり、七輪で魚を焼いてくれることはありません。お陰でみなさん楽しんでもらえたし、湖魚を食べるまでのストーリーや、治右衛門さんの「新しい食べ方も、古い昔ながらの食べ方も残していきたい」といった想いもきっとご理解いただけたと思います。

「滋賀に住んでいても、なかなか湖魚を食べられない」といった声をよく聞きますが、本来、郷土料理はみなさんのすぐ身近にあるものです。ぜひ近くの魚屋をのぞいてみてください。最近は、県内ならスーパーでも季節ごとに小鮎やセタシジミなどが再び並ぶようになってきています。そんなとき、たとえば小鮎ならどんな漁法で獲れたか、それがどんな状態か、少し観察してもらいながら手にしてもらえたら嬉しいです!!

中村

酔いどれ、中村。

中脇

中脇さんも、ごきげんさん。

SHOP DATA

湖里庵(こりあん)

〒520-1800 滋賀県高島市マキノ町海津2307

TEL:0740-28-1010

WEBサイト:http://korian.jp

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